今回はOKTABEEver2.11が制作している氷天とユキノの制作秘話についてご紹介します。
1 企画意図・キャラクターデザインのはなし
「氷天とユキノ」の始まりは、チームメンバーの好きなゲーム、作りたい要素を全てぶち込んだ闇鍋から生まれました。
企画を作るにあたって、できるだけ皆がやりたい事をやろうと考え無茶を承知でこのようなことをしましたが、意外となんとか纏まりました、よかった!
メンバーの要望に添えない点もあり申し訳なく思っていたのですが、快く受け入れてくれた事には感謝しかありません。
今回、モチーフとして氷を選んだ理由はゲームの自由度と新規性を考慮した時にいろいろ出来そうだと思ったからです。
実はボツ案で島と島を氷で合体させたりしたら斬新で面白そうだなとか考えていました(後に某伝説で似たシステムが出てきてあっぶなかった…)。
結果、これを転用して空を走れる氷の橋アクションが生まれました。
主人公であるユキノのキャラクターデザインは、雪だるまをモチーフにすると決めていたので基礎はすんなり出来ました。
ただ、今回3Dモデルが作りやすいデザインにすることを一番に考えていたので、シンプルな構造かつ見栄えする服や装飾のデザインに悩みました。
最終的には、このキャラは既に大きな耳や背負い物が記号として特徴的なので、それを引き立たせるよう服装はあまり主張し過ぎず地味過ぎないラインを狙い、リボンや袖の柄などのワンポイントだけ入れたポンチョのようなデザインに落ち着きました。
ちなみに前髪の黒メッシュの意味は、雪だるまを作ると絶対くっついてくる砂利です。
2 実装&バグのはなし
初期の氷天とユキノではヒップドロップ、チャージブレーキを除く能力が実装できていて今の原型となっていました。
ただ、問題となっていたのがユキノの動きです。当時は左スティック入力をすると滑るような動きをしたり、徐々に加速していくような動きをしたりと今とは比べ物にならないくらいに操作性が悪かったです。
これらを改善するためにプログラムを2度変更しています。これの他に最近坂の動きが不安定だったので処理を追加したりジャンプ関連の修正をしたりとユキノの動きは定期的に調整や変更が加わっています。
ユキノの能力である溶雪はこのゲームの中心となる能力だと思い初期段階に実装していました。
床を生成する際隙間や段差ができないようにするのが大変でしたが結構早い段階で実装できました。
ただ足元に床を生成するという仕組み上バグが発生しやすくなっており定期的に床に埋まる、徐々に上昇していくバグが発生していて修正に追われていました。
他には見た目をよくするためにエフェクトやシェーダーを使用したり、床がきれいにつながって見えるように生成位置の調整を行いました。
ユキノの能力であるチャージブレーキは溶雪と異なり実装が3月頃でした。
実装まで多くの壁にぶつかって実装に時間がかかったものの一つです。ここではいくつかピックアップして紹介します。
1つ目は方向転換です。初期のチャージブレーキは現在と異なり起動したらカメラがユキノの後ろに切り替わっていたのですが正常に切り替わらない、カメラの方向にユキノが向かないなどがありました。
当時ある程度の修正はできたものの完全には治らず、最近仕様変更時に処理を大幅に変更して修正されました。
2つ目は画面のモノクロ化と敵のハイライト機能です。今までやったことのないものだったので当時はめちゃくちゃ頭を抱えてました。
最終的にはポストエフェクトとURPの描画設定をチャージブレーキ中のみ変更するようにして実装しました。
現在の氷天とユキノは基本的にバグが見つかったら即修正をしているため比較的バグが少ないですが初期から中期あたりには修正困難と思われるようなバグがありました。
その中でも問題があったのは無限上昇バグです。ユキノは滑空状態で上昇気流にはいった時上昇するのですが、それが一度はいると上昇気流から出たり滑空状態を解除しても上昇が止まらないというバグでした。
当たり判定系のバグだろうという推測を立てていたのですがよくあるアタッチのし忘れ等ではなかったため原因が全くわかりませんでした。
最終的にバグの修正のためにユキノのプログラムをいくつかに分けてそれぞれでバグが発生するか検証をしました。
その結果ユキノの姿を変えるための処理が常に動いていたのが原因でした。今と比べてプログラムが少なかった時期で、なおかつ原因の発見が検証を始めてすぐ見つかったので良かったですが、プログラムが増えより複雑になった今同じことをしなければならないとなったらぞっとしますね。
3 ゲームモデルのはなし
氷モデル
ユキノが雪玉状態で転がっている際に作られる氷の橋は、何度もデザイン変更して現在のモデルになりました。
初期の状態では、上の部分は1枚の氷の板に模様が描かれているイメージでモデリングしました。
しかし、氷感が少ないという意見から、現在の複数の氷が組み合わさったようなモデルになりました。